自身も花が好きなことから、「お客さん目線での仕事」をモットーとしているスタッフの「山崎美百紀」さん。(店長の奥さんでもあります)
売る側の立場として、いつでも心がけている想いやこれまでに経験したエピソードを紹介します。

–お花屋の魅力はなんでしょう?

その季節その季節で色んなお花が見られることですかね。「素敵だな」「綺麗だな」「楽しいな」って思うのを共感できる人と出会えるのが一番うれしいですね。それは私たちスタッフ側もそうですが、お客様側からも、そういう場所であってほしいと思っています。あまり仕事って意識していないのが長続きの秘訣だとおもいます。

–一番長い付き合いのお客さまだと何年くらいですか?

15年前のオープン当初からご来店いただいているお客さんもいます。子供が同級生なので、この店の年数(15年)です。いまだに来ていただいて買って下さるのですけど、お住まいがマンションなので、非常に気密性が高いので、丈夫なお花をお渡しできるよう常に気を配らせていただいています。

フラワーショップ山崎家
山崎 美百紀

–なかなか今までお花を飾ってこなかった方が、お花を生活の中の一部に入れるというのはハードルが高いかと思いますが、どこから始めたらいいでしょうか?

一番もつのは根のついたお花だと思います。
例えばお庭がないお宅でもベランダはある。室内でもいいですが。鉢植えのもので何かを育ててみるとか、プランターを買ってきて、土をいれて、例えば、小さい草花を一度植えてみて、朝起きたときに昨日とは違う蕾が咲いてきたとか、そういう表情・成長を感じることからお花にまず興味をもっていただければ、自分が手をかけた分の喜びは自信にも繋がります。

うちで買っていただいたものであれば、すぐ枯れるようなものはご提供してないので、育てやすいかと思います。そこから、次は「こういうお花、こんなお花どうだろう」と育ててみて、失敗しながら楽しんでもらえたらいいのかなと思います。失敗もまた思い出話として、「あたしこんなことしちゃったのよ」とか、私もよくお客さんにも言いますし、逆にお客さんから「これはこうやって育てるのよ」って教えてもらったこともたくさんあります。(笑)日々勉強です。プロ級になっている方もいらっしゃって、胡蝶蘭を咲かせる方もいますね。

–お花を生活の中の一部に入れたことで、その方のご家庭の雰囲気がよくなったといったことなどはありますでしょうか?

あります。例えば、ずっとブルーのお花を買いにいらっしゃるお客さんがいて、そしてそれを、何か月も続けていらして。
後から知ったのですが、それは息子さんの受験の願掛けだったんです。「合格しました」って言いに来ていただいた時はとてもうれしかったです。

–その方は毎週いらしてたんですか?継続して同じようなお花を買われるということは、いつも同じ商品品質を継続するというのも難しそうですね。

その時のタイミングによりますね。今回は2週間もったけど、次の時はよくお出かけしたのでお水替えしてなかったのが理由で10日しかもたなかったという場合もあります。
もちろん水やりの状況によっても持ちは変わるんですが、お花って毎回毎回枝木が違ったりするんですよ。今日はものすごくお花のつきがいいなとか。
うちのスタッフは全員そうなんですが、お客さんがご来店された時に、その時にあるお花の中で一番良いものから1本を選ぶというのが鉄則です。

–お花は生き物かと思います。ちょっとくたびれたお花はどうするんですか?

それは売らないで破棄します。

お花屋さんの先輩がいるんですけど、お店始めて最初の年にその方のお店に主人と訪ねにいったんです。
我々と同じ10坪ぐらいの狭いお店だったんですけど、すごいお客さんが入ってたんですよ。でもね、お客さんが「すいません、すいません」ていいながらね、みんな行きかうんですよ。それくらいお客さんも入りたいお店なんですね。狭いお店なのに。
なぜだろうと思って見てみると、天井いっぱいに花を積んでいたんですよ!見てて楽しかったですね。

その方に一番最初に言われたのが「とにかく一番最初の年は売れない。信用もなければお客さんの知名度もないから。少しでもくたびれた花があれば、それは捨てなさい。捨てたら次につながる」て言われたんです。【いいものを売ってる】【綺麗なものをちゃんと選んで提供している】それがお客さんに喜んでもらえる秘訣だと。
初めのころは、「まだまだ咲いている花を廃棄するのは心が痛かった。」「これが食べる物だったらどんなにいいのに」って話してましたね。作ってくれた農家さんにも申し訳ないし、「この花たちが報われるために売らないと」って。

–年齢層の幅も広いのかなと思うのですが、おいくらぐらいから買えるものなのでしょうか?

うちのお店には小学生も来てくれます。「おばちゃん、200円しかないねん」て子もいてます。お父さんお母さんのルールもあると思うので、お小遣いの範囲でっていうのは守りますね。「200円のお花探すわ」って言うて。1輪の時もありますし、どうにかこちらも工夫を凝らして花束作ったり。
お花をあげるのも「なんであげるの?」て子どもさんでも聞きます。それと「メッセージをつけなさい」とカードを渡しますね。子どもには必ず。よく嫌がる子もいますけど「書いてあげたら喜ぶよ」て言って。だから「おじいちゃんへ」て書いてる子もいますし、書かない子ももちろん多いですけど。そういう問いかけをしながら。
お菓子とか飲み物とは違って、生活に必須なものではないので。だから私はせっかく来たんだからそこにお母さん目線の気持ちも入れながら喋るというか、お父さん目線の気持ちを入れながら喋ります。

–では最後に、美百紀さんがお仕事をする上で気を付けていること、お店の特徴を教えていただけますか?

私は、お花の学校行った訳でもなく、経験も少ないんですが、それが逆にお客さん目線で仕事で来ているかと思います。お客さんだったらこんなんほしいかな?とか。
元々、私はよくお花屋さんに買いに行く人だったんです。そのころに結構嫌な思いをたくさんして…花が開ききったものから売られそうになったり。私はそれが嫌でした。こっちの状態の良いのくださいって言っても嫌って感じで。「ギフトのアレンジを作ってください」って言っても、古いお花から挿していきたいんでしょうね。その時代があったので、お花屋さんのイメージがものすごい悪かったんです。だから、今はそんなお花屋さんの逆のことを全部してます。鮮度の良いものから売る。(笑)
お客さんお一人お一人生活環境は違う。だからその人がどんな場面でこのお花を買おうとされているのか。よくお客さんとお話できるような雰囲気作りは心がけています。
主人のような職人、志津香ちゃんのようなクリエイター。そんなプロがうちの店にはいてるから、どんなご注文をいただいても「お任せください。」て言えるので。それぞれの役割分担ができてて、いいお店かなって思っています。

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